レクサスISは長年ブランドのスポーツセダンを象徴してきましたが、2025年11月に現行モデルの生産終了が公式に発表されています。次の世代ではBEV専用プラットフォームを採用した新型セダン「LF-ZC」が2026年前後に投入予定であり、報道ではシューティングブレイク形状の展開にも注目が集まっています。本記事では発売時期やデザイン、走行性能、価格、サイズ、内外装、荷室、パワートレインといった確定情報を整理し、さらに「何が新しいのか」「何がすごいのか」を明らかにします。そして欧州勢との競合や購入戦略、編集部のオリジナル感想を交えて、ISの歴史とBEV時代への進化を総合的に解説します。
ISがBEVへ、その背景とは?
レクサスISは長年にわたりブランドを代表するスポーツセダンとして販売されてきました。1999年に初代が登場して以降、FRレイアウトを基盤にし、俊敏なハンドリングと上質なインテリアを備えることで、欧州Dセグメントのプレミアムセダン市場に挑戦してきました。現行モデルは2020年のマイナーチェンジで大幅に刷新され、デザインや安全装備を強化しながら継続販売されてきました。しかし2025年11月をもって生産終了となることが公式に発表されています。これにより、自然吸気V8を搭載するIS500 F SPORT Performanceを含めたすべてのバリエーションが生産ラインから姿を消すことが確定しました。
その背景には自動車産業全体の電動化の流れがあります。レクサスは2035年までにすべての販売車両をBEV化する方針を公表しており、その第一歩として次世代BEVセダン「LF-ZC」を2026年前後に投入すると明言しています。このLF-ZCはBEV専用プラットフォームを採用し、ソフトウェアによる制御やステアバイワイヤ技術、DIRECT4と呼ばれる四輪駆動システムなど、従来の内燃機関車両とは大きく異なる仕組みを持つとされています。つまり現行ISの終了は単なるモデルチェンジではなく、電動化戦略に沿った大転換の一環として位置付けられています。
ISは「鍛えた走りの味」を掲げてきたモデルですが、その精神は次世代BEVにも受け継がれることが期待されます。イントロダクションとして押さえておくべき事実は、現行ISの終了とBEVセダン投入計画が連動しているという点です。これがISがBEVへ移行する背景にほかなりません。
発売時期はいつ?
レクサスISの生産は2025年11月で終了することが公式に案内されています。対象はIS500、IS350、IS300h、IS300の各モデルであり、生産枠の終了に伴い注文が早期に締め切られる可能性があることも注意点です。つまり現行ISの新車を購入できるのは2025年内までであることが事実として明確になっています。
次に注目すべきは後継となるBEVセダンの投入時期です。レクサスはLF-ZCを2026年前後に市場投入すると公表しています。これは公式のプレゼンテーションやニュースリリースでも繰り返し言及されており、ブランド全体の電動化戦略の一部として位置付けられています。シューティングブレイクについては自動車専門メディアであるCarscoopsやMotor.esなどが、次期型ISがセダンとシューティングブレイクの両方の形態で投入される可能性に触れています。これらはメーカー公式発表ではなく報道ベースの情報ですが、複数の海外メディアが共通して取り上げている点は事実として確認できます。
したがって発売時期に関して確実に言えることは、現行ISが2025年11月で終了することと、LF-ZCを基盤とした次世代BEVセダンが2026年前後に投入予定であることです。名称がISとして継続されるかは未発表ですが、少なくともブランドの新しいスポーツセダンがBEVとして登場することは事実です。シューティングブレイクに関しては複数の報道による言及が存在するため、注目すべき観点として整理することが正しい対応となります。
外観デザイン:セダンとシューティングブレイクの狭間
現行レクサスISのデザインは、低重心のFRプロポーションを強調したシルエットが特徴です。フロントには大きなスピンドルグリルが配置され、鋭い造形のLEDランプと組み合わされることで精悍でスポーティーな印象を与えています。F SPORTでは専用エアロやメッシュパターンのグリルが採用され、よりスポーツ性を前面に出したデザインとなっています。リアは水平基調のテールランプとワイドなスタンスが強調され、安定感のある造形です。これが現行ISのデザインの事実としての要点です。
次期モデルについては、LF-ZCが示したコンセプトを基盤としています。LF-ZCは凝縮感あるフォルムを持ち、ルーフラインは流麗でホイールベースの長さを生かしたシルエットが特徴です。従来の「スピンドルグリル」は「スピンドルボディ」と呼ばれる新しい造形表現に進化し、空力性能を重視した面構成が強調されています。照明についても新しいシグネチャーランプの表現が公式に提示されています。
さらに海外メディアCarscoopsは、次期ISがセダンとシューティングブレイクの両方のボディ形状で展開される可能性について報じています。シューティングブレイクはセダンの流麗なルーフラインを維持しながらリアにかけて荷室容量を拡大する形態であり、スポーティーさと実用性を兼ね備えたデザインになることが期待されています。公式発表はまだありませんが、報道としてそのようなデザイン案が示されている事実は確認できます。
したがって外観デザインを整理すると、現行ISはFRプロポーションとスピンドルグリルによる精悍さが特徴であり、次期モデルはLF-ZCを基盤としたスピンドルボディと空力デザインが中心です。さらに報道ベースではシューティングブレイクの可能性が指摘されており、セダンとワゴンの狭間に位置する新しいボディスタイルが注目されています。
走りはどうなる?
現行ISはFRレイアウトを基盤とし俊敏なハンドリングとリニアな挙動で高い評価を得てきました。とりわけIS500 F SPORT Performanceは自然吸気V8を搭載し、走る楽しさを象徴する存在でした。しかし2025年11月で生産終了することが公式に発表されており、FR×大排気量エンジンの組み合わせは終わりを迎えることが事実として明確になっています。
次世代モデルは電動化を前提に設計されており、LF-ZCが示す技術要素が中核となります。その一つがステアバイワイヤです。これはステアリング操作を機械的なシャフトを介さず電子信号で伝える仕組みであり、ドライバーの入力に対して素早く正確に車両を制御できる特徴を持ちます。さらにDIRECT4と呼ばれる四輪駆動制御が組み合わされます。前後に配置されたモーターの駆動力を瞬時に最適配分し、加速時や旋回時において安定感と応答性を両立させます。これはすでにレクサスが公式資料で明らかにしている技術です。
バッテリーを床下に搭載するBEVパッケージは低重心化をもたらし、コーナリング性能や直進安定性を高める効果が期待されます。加えて回生ブレーキと統合された制御により加減速のつながりが滑らかになり、従来の内燃機関車両にはない新しいドライビングフィールが提示されます。つまり現行ISが築いたFRスポーツの遺産は、次世代BEVで電子制御技術を活かすことで新しい形に置き換わることが事実として示されているのです。
価格は?
現行レクサスISの国内価格帯は公式サイトに明記されており、481万円から950万円です。エントリーモデルのIS300は481万円台から始まり、ハイブリッド仕様のIS300hは600万円台に位置します。V6搭載のIS350は800万円前後であり、V8を積むIS500 F SPORT Performanceは950万円前後となります。この価格帯がプレミアムスポーツセダンとしての現行ISの事実上の基準です。
次世代モデルについて現時点で価格は公式に発表されていません。したがって確定情報として提示できるのは現行ISの価格帯だけです。ただし事実としてBEVは車両価格に加えて購入時の補助金制度が存在し、さらに充電インフラの利用コストが総支出に影響します。日本市場ではCEV補助金や自治体独自の補助金制度が適用される場合があるため、消費者は新型車両の本体価格と同時にこれらを含めた総額で判断することが一般的です。
ここで重要なのは、価格帯の予測や憶測ではなく、現行モデルが481万円から950万円の範囲に設定されている事実と、次期BEVモデルの価格が未発表であるという二点を明確にすることです。読者が検討する際には補助金制度やインフラコストも合わせて考える必要があるという点は確定的に言える内容です。
何人乗り?サイズは?
現行レクサスISの乗車定員は5名です。前席2名と後席3名の構成であり、公式の主要諸元に明記されています。寸法は全長4,710mmから4,760mm、全幅1,840mm、全高1,435mmから1,440mm、ホイールベースは2,800mmです。グレードや装備によって全長や全高にわずかな差がありますが、基本的なサイズはこの範囲に収まります。これは欧州Dセグメントに該当し、BMW3シリーズやメルセデスCクラスと競合する領域です。
次期モデルについてはLF-ZCのコンセプトが提示されているものの、シューティングブレイクを含む具体的な寸法値は公式に発表されていません。したがって事実として提示できるのは現行ISの諸元だけです。BEV専用プラットフォームではバッテリーを床下に配置するためホイールベースを長く取ることが容易であり、室内空間を拡大できる設計自由度が高いことが一般的に説明されています。しかし新型ISのシューティングブレイクにそれがどの程度反映されるかは未公表です。
したがって整理すると、現行ISは5名乗車で全長約4.7m、全幅1.84m、全高1.44m前後という事実が確定しており、次期モデルについては寸法や定員が未発表であるという点を明確にすることが正しい情報整理となります。
内装は?
現行レクサスISの内装はドライバーを中心に設計され、高品質な素材と精緻な造形で上質な雰囲気を演出しています。グレードにより本革シートやアルミ製アクセントが採用され、F SPORTではスポーツステアリングや専用シートが装備されます。さらにマークレビンソン製オーディオが選択でき、音響面での満足度も高めています。これらは現行モデルで確認できる確定的な装備内容です。
次世代モデルに関連しては、LF-ZCのコンセプトに示された内装思想が参考になります。レクサスはこのモデルにおいて大画面ディスプレイを用いたHMIを中心に据え、従来のボタンやスイッチに依存しない操作体系を打ち出しています。さらにソフトウェア志向のUXが前提とされ、アップデートによる機能進化が公式に強調されています。これにより購入後もシステムや操作環境が変化し続ける点が従来車両との大きな違いです。没入感のあるインターフェースはシンプルでありながら直感的な操作性を実現し、ドライバーが運転に集中できる環境を整えています。
したがって内装の事実として提示できるのは、現行モデルが素材と快適装備に重点を置き、次世代モデルではLF-ZCを通じてソフトウェアと大画面HMIを中核に据えた設計思想が示されているという二点です。
荷室は?
現行レクサスISの荷室容量は公式FAQに基づき、IS300、IS350、IS500が379リットル、IS300hが342リットル、さらにアクセサリーコンセントを装着した場合は293リットルです。これらはVDA方式で測定された数値であり、確定的な情報です。一方で海外メディアでは450リットルと表記される場合がありますが、これはSAE方式など計測規格の違いによるものです。読者が数値を比較する際には規格の差異を理解する必要があります。
次期モデルに関しては、LF-ZCを基盤にしたBEV専用プラットフォームが示されているものの、具体的な荷室容量は公式に発表されていません。ただし報道ベースではシューティングブレイク形状での展開が取り上げられており、セダンに比べてリアのルーフラインを後方に延ばすことで荷室スペースを拡大する構造となることは事実として一般的に説明可能です。シューティングブレイクはスポーティーな外観を保ちながら荷室の使い勝手を高めるボディ形状として知られています。
したがって事実に基づいて整理すると、現行ISの荷室容量は公式に定義された数値が存在し、次期モデルでは具体的な数値は未発表ながらシューティングブレイク形状の採用が報道されているという点が重要です。
パワートレイン
現行レクサスISのパワートレインは多様な構成で展開されています。2.0リッター直列4気筒ターボエンジン(8AR-FTS)を搭載するIS300、2.5リッターハイブリッド(2AR-FSE+モーター)を搭載するIS300h、3.5リッターV6(2GR-FKS)を搭載するIS350、そして5.0リッターV8(2UR-GSE)を搭載するIS500が存在します。これらは公式の主要諸元に基づく確定情報です。トランスミッションは8速ATやeCVTが組み合わされ、駆動方式はFRが基本で一部AWDが設定されています。
次世代モデルについては、LF-ZCが示す技術解説によりBEV仕様となることが明らかにされています。レクサスはBEV専用プラットフォームを用いることで前後モーターによる駆動を採用し、DIRECT4による前後トルク配分制御を組み合わせると公式に説明しています。さらにステアバイワイヤとの統合制御により、精度の高い走行性能が可能になると発表されています。報道ではトヨタ・レクサスのe-TNGAアーキテクチャに基づく展開が指摘されており、AWDやトルクベクタリング機構といった要素が次世代パワートレインの事実として確認されています。
したがって整理すると、現行ISのパワートレインは多彩なエンジンラインナップで展開されている一方で、次世代モデルはBEV専用アーキテクチャと電動駆動技術に統合されることが公式に明言されているという点が確定情報です。
何が“新しい”?何が“すごい”?
レクサスの次世代BEVセダン「LF-ZC」に示された方向性には、従来の内燃機関セダンとは大きく異なる要素が含まれています。まず車体形状に関してはBEV専用プラットフォームを前提として設計され、バッテリーを床下に配置することで低重心かつ広い室内空間を実現することが明確にされています。ルーフラインは流麗でありながら空力性能を重視した造形が採用され、従来のスピンドルグリルを進化させた「スピンドルボディ」という新しいデザイン言語が導入されています。これが従来との明確な違いです。
次に駆動制御の進化です。LF-ZCではDIRECT4と呼ばれる前後モーター駆動力制御が公式に発表されています。これにより加速時やコーナリング時にトルクを瞬時に前後に配分し、安定性と応答性を両立させることが可能です。さらにステアバイワイヤ技術が組み合わされ、ドライバーの操舵入力を電子的に伝えることで正確な制御が行われます。これらは従来のFRセダンには存在しなかった新しい要素です。
ユーザー体験の面では、ソフトウェアアップデートを前提としたUXの進化が公式に示されています。購入後もシステムが継続的に改善されるため、体験価値が時間とともに進化するという仕組みは従来の車両では実現できなかった特徴です。したがって「新しい」とは車体設計から制御技術まで根本的に変革されている点であり、「すごい」とはそれらが統合されドライバーとクルマの関係を刷新する事実です。
乗り心地は?
現行ISではアダプティブバリアブルサスペンション(AVS)やパフォーマンスダンパーといった装備が用意され、走行状況に応じた減衰力制御やボディの揺れを抑える工夫がなされています。これによりスポーティーさと快適性を両立させることが事実として確認できます。スポーツセダンとしての切れ味を保ちつつ、長距離走行においても疲労を軽減する乗り心地が追求されてきました。
次世代モデルではBEV化による静粛性の向上が大きなポイントとなります。モーター駆動はエンジン音や振動が少なく、走行中の静けさが格段に高まります。さらにバッテリーを床下に搭載することで低重心化が進み、車両の揺れや不安定感が減少することも事実です。可変減衰機構との組み合わせにより、通常走行時の快適性とスポーツ走行時の引き締まった感覚を両立する制御が可能となります。これらはLF-ZCの技術解説において公式に示されている方向性です。
つまり現行ISの乗り心地は機械的制御と足回りの工夫で快適性を高めていたのに対し、次世代BEVセダンは電動化と統合制御の仕組みによって「静」と「動」の両方の快適性を提供することが事実として提示されています。
競合他車は?
レクサスISは長らく欧州プレミアムブランドのセダンやツーリングモデルと競合してきました。代表的な競合はBMW3シリーズツーリングであり、走行性能と実用性を兼ね備えたモデルとして世界的に高い人気を誇ります。さらにメルセデスベンツCクラスステーションワゴンやアウディA4アバントも同じセグメントで直接的に比較される存在です。アルファロメオジュリアもドライビングプレジャーを重視するスポーツセダンとしてISと並べられてきました。これらは現行市場で確認できる確定的な競合です。
次世代BEVセダンおよびシューティングブレイクにおいては競合の顔ぶれが変わります。テスラModel 3が代表的なBEVセダンとして存在し、BMWはi5ツーリングを投入し、アウディもe-tron Avantを展開しています。これらはすでに市場で販売されており、プレミアム電動シューティングブレイクやワゴンの選択肢として実在しています。ポールスター2も北欧ブランドとして存在感を高めており、今後比較対象に含まれることは必至です。
したがって整理すると、現行ISは欧州Dセグメントの内燃機関セダンやワゴンと競合し、次期モデルはBEV市場においてBMW i5やアウディe-tron Avantなど電動シューティングブレイクやセダンと競うことが確定的です。これが事実としての競合関係です。
Q&A形式まとめ
ここでは読者が特に気にする疑問点を簡潔に整理します。事実確認に基づき短くまとめることで情報を把握しやすくしています。
Q:新型ISの発売時期はいつですか?
A:現行ISは2025年11月で生産終了することが公式に発表されています。次世代BEVセダンLF-ZCは2026年前後に投入予定と公表されています。ただし名称がISとして継続するかは未発表です。
Q:現行ISのサイズと乗車定員はどのようになっていますか?
A:現行モデルの乗車定員は5名です。全長は4,710mmから4,760mm、全幅は1,840mm、全高は1,435mmから1,440mmでホイールベースは2,800mmです。これは主要諸元に記載された確定情報です。
Q:荷室容量はどのくらいですか?
A:IS300、IS350、IS500は379リットル、IS300hは342リットルで、アクセサリーコンセント装着車は293リットルです。VDA方式の数値であり公式に公表されています。
Q:価格の目安はどの程度ですか?
A:国内価格帯は481万円から950万円で、IS300がエントリーとなり、V8を搭載するIS500 F SPORT Performanceが最上位です。次期BEVモデルの価格は未発表ですが現行モデルの価格帯が参考となります。
したがって整理すると発売時期は2026年前後、現行サイズは主要諸元で確定、荷室は379リットル前後、価格は481万円から950万円という事実が明確に提示できます。
あとがき
レクサスISは1999年に初代モデルが登場し、欧州Dセグメントのプレミアムセダン市場を強く意識したFRスポーツセダンとして発展してきました。FRレイアウトを活かした俊敏なハンドリングと上質な内装は多くの支持を集め、日本発のスポーツセダンとしてブランドを確立しました。現行型では自然吸気V8を搭載するIS500が設定され、時代の終焉を象徴する特別なモデルとなりました。しかし公式に発表された通り2025年11月に生産が終了し、内燃機関搭載のISは歴史に幕を下ろすことが確定しました。
次世代はLF-ZCを基盤とするBEVセダンが2026年前後に登場予定です。電動化を象徴するスピンドルボディデザイン、DIRECT4やステアバイワイヤなどの新技術、ソフトウェアアップデートによるUXの進化が公式に示されており、従来の延長線ではなく新しい時代に向けた根本的な変革が準備されています。さらに報道ベースではシューティングブレイク形状の採用が取り上げられ、スポーティーさと実用性を融合させる方向性が注目されています。
自動車史においてシューティングブレイクは英国の高級車文化に由来する形式であり、セダンの流麗さを保ちながら荷室を拡大する特徴を持ちます。BMW3シリーズツーリングやアウディA4アバントが欧州で人気を得た背景にも同様の文脈があり、ISがこのフォーマットに挑むことは歴史的に見ても興味深い展開です。つまりISの進化は単にBEV化にとどまらず、実用性とデザインを兼ね備えた新しい市場価値の創出につながるのです。
総じてレクサスISはFRセダンの象徴として幕を閉じ、次は電動化とシューティングブレイクの融合を通じて新しい時代を切り開くことが期待されています。これは歴史の転換点であり、ISという名前が残るか否かにかかわらず、ブランドの象徴としての役割を果たし続けることは間違いありません。
レクサスISというモデルは、これまで日本市場だけでなく世界市場においてもブランドの走りを象徴する存在でした。1999年に初代が登場して以来、FRレイアウトを採用し俊敏なハンドリングと上質な内装を組み合わせた「日本発のプレミアムスポーツセダン」として独自の地位を築いてきました。現行型では自然吸気V8を搭載するIS500が設定され、FRのスポーツセダンとして最後の輝きを放つ存在となりました。しかし公式に2025年11月での生産終了が発表されたことで、内燃機関を搭載したISの歴史は終わりを迎えることが確定しています。
ここで注目すべきは、後継モデルとして示されているLF-ZCが、セダンと並行してシューティングブレイクの可能性を持つと報じられている点です。シューティングブレイクとは、セダンの流麗なルーフラインを残しつつワゴンの実用性を取り入れたボディ形状であり、欧州ではBMW3シリーズツーリングやアウディA4アバントといったモデルが人気を集めています。ISがこのフォーマットを採用することは、単なる派生展開にとどまらず、ブランドとして新しい顧客層を開拓する意義を持ちます。従来のセダン市場が縮小傾向にある中で、実用性とデザイン性を兼ね備えたシューティングブレイクは合理的な選択肢といえるのです。
一方で、走りの質感という視点では、BEV化によって大きな再定義が迫られています。従来のISはエンジンの回転フィールやFR特有のバランスが「操る楽しさ」を形づくってきました。しかし次世代モデルではDIRECT4やステアバイワイヤといった電子制御が走行性能の核となります。ドライバーは従来とは異なるレスポンスや静粛性を体験することになりますが、これを「ISらしさ」と結びつけられるかどうかが最も重要な課題です。つまり自然吸気V8のような感性的価値を失った一方で、緻密な電子制御や低重心化された車体が新しい楽しさを生むかどうかが問われるのです。
シューティングブレイクという選択肢はISブランドにとって新たな挑戦であり、セダン市場の先細りを補完する有効な戦略だと考えます。さらにBEVによる静粛性や快適性は日常の移動手段としての満足度を高め、荷室拡大による実用性も相まって「家族が選ぶスポーツセダン」という新しいポジションを築く可能性があります。その一方で、FR×V8という特別な組み合わせを知る愛好家にとっては、どこか物足りなさを感じるのも事実です。
次期ISがシューティングブレイクを含む多様なボディ形状で展開され、BEVならではの制御技術を駆使して「走り」と「実用性」の融合を実現するなら、従来のセダンユーザーだけでなく新しい層をも取り込むことができるはずです。その意味で、新しいISは単なるモデルチェンジではなく、ブランドの方向性を象徴する試金石となるといえます。私たちは現行ISが残した「操る楽しさ」と「上質さ」が、どのように電動化時代に翻訳されるのかを注視し続けたいと思います。
レクサスISは2.5リッターエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド仕様「IS300h」を長年にわたりラインアップしてきました。システムは2AR-FSEエンジンと電気モーターを組み合わせ、eCVTを介して駆動する構成であり、燃費性能と静粛性を両立させた事実上の定番グレードでした。公式諸元によれば、IS300hの燃費はWLTCモードで15km/L前後を示し、ガソリンモデルに比べて環境性能に優れ、都市部のユーザーを中心に支持されてきました。さらに回生ブレーキによる効率性も相まって、日常使いから長距離走行まで安心して利用できるモデルとして位置付けられていました。
しかし、レクサスは電動化戦略を公式に打ち出しており、2035年までに販売モデルをすべてBEVに移行する方針を明言しています。この方針に沿って現行ISシリーズ全体が2025年11月で生産終了することが発表されました。つまり、IS300hを含むすべてのハイブリッド仕様も終了することが確定しています。これにより「ハイブリッドは残して欲しい」という声が一部ユーザーから上がるのも事実です。なぜならハイブリッドは充電インフラに依存せず、ガソリンを補給するだけで利用できる利便性を持ち、既存のユーザーにとって扱いやすい選択肢だからです。
レクサスはすでにESやNXなど他モデルにハイブリッドを展開していますが、ISというスポーツセダンの枠組みではその選択肢が失われることになります。電動化が不可逆の流れであることは確かですが、ハイブリッドが果たしてきた役割は依然として大きく、「残して欲しい」と感じる愛好家が存在することは事実として受け止めるべきです。
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