レクサスISは長年ブランドのスポーツセダンを象徴してきましたが2025年11月に生産が終了することが公式に発表されています。これにより自然吸気V8エンジンを搭載するFRセダンも姿を消すことになり、多くの愛好家にとって大きな節目となります。その一方でレクサスは次世代BEVセダン「LF-ZC」を2026年頃に投入すると公表しており、走行性能やデザイン、インテリアに至るまで新しい方向性を打ち出しています。本記事では発売時期、外観、走り、価格、サイズ、内装、荷室、パワートレインなどの確定情報を整理し、さらに「何が新しいのか」「何がすごいのか」を明確にします。そして競合他車との比較や購入戦略にも触れながら、編集部の率直な感想を加えてISの魅力と次世代モデルへの期待を総合的に解説いたします。
結論と全体像:ISは“一区切り”、次はBEVセダンの時代へ
レクサスISは長年ブランドのスポーツセダンを担ってきましたが2025年11月をもって生産終了することが公式に案内されています。対象はIS500、IS350、IS300h(AWD含む)、IS300の各モデルであり公式サイトの見積りシミュレーションにも生産終了予定の記載があります。つまり現行ISは一区切りを迎えることが確定しているのです。では次の一歩がどうなるのかという点が大きな関心事となります。レクサスはすでに次世代BEVセダン「LF-ZC」を発表しており2026年頃の導入を明言しています。デザインや技術の方向性はこのコンセプトモデルに示されており後継がこの流れに位置付けられることは間違いありません。名称がISとして継続するかは未発表ですが少なくともスポーツセダンという系譜を引き継ぐ次世代モデルが計画されているのです。本記事ではまず発売時期を整理し次にデザインの方向性や走行性能や価格帯を確認しさらにサイズや内装や荷室を押さえます。そのうえでパワートレインや新技術や乗り心地に触れ競合他車との比較を行います。最後にISというモデルが残した意義と次に期待される価値を整理いたします。
発売時期はいつ?
発売時期についてはまず確定している事実として2025年11月に現行ISの生産が終了する点が挙げられます。レクサス公式ページの案内に明記されており対象となるグレードも具体的に示されています。つまり2025年内に新規の注文が難しくなる可能性が高いということです。その一方で次期モデルについてはLF-ZCというコンセプトが発表され2026年前後の市場投入が計画されています。北米や欧州のニュースリリースでも2026年の導入が示唆されておりブランド全体の電動化戦略における中核モデルとして扱われています。さらに2025年10月のジャパンモビリティショーではレクサスが新しいブランドビジョンを提示しその中心にBEVセダンがあることを強調しました。ここで重要なのは名称が「IS」として続くのかあるいは新しいモデル名で登場するのかが未確定である点です。したがって発売時期を語る際には2025年11月に現行型が終わり2026年前後に次期BEVセダンが投入されるという二段階のタイムラインで理解することが正確であるといえます。推測や憶測を交えることなく公表情報を整理するとこのような流れになります。
外観デザインは?(現行ISの要点と次期像)
現行ISのデザインは低重心FRプロポーションを強調しておりフロントに大きなスピンドルグリルを備えシャープなLEDランプを組み合わせることで精悍な印象を与えています。特にF SPORTではメッシュパターンや専用エアロが装備されスポーツ志向が際立ちます。リアはワイドなスタンスを強調し水平基調のテールランプが特徴です。これが現行ISのデザインの事実としての要点です。一方で次期を担うBEVセダン「LF-ZC」のコンセプトは凝縮感あるフォルムを持ち空力性能と美しさの両立を目指しています。ルーフラインは流麗でホイールベースの長さを生かしたシルエットが特徴です。フロントは従来のスピンドルグリルを進化させた「スピンドルボディ」と呼ばれる造形を採用し空気の流れを意識した面構成が強調されています。照明についてもシグネチャーランプの新しい表現が示されておりブランド全体のデザイン言語が変革期にあることがわかります。現行ISとLF-ZCは直接のつながりを持つと明言されているわけではありませんがレクサス自身が次世代の主力セダンとして提示している事実を踏まえると新型ISの外観デザインを考える際にはLF-ZCの方向性を参照することがもっとも現実的です。
走りはどうなる?(FRスポーツ→電動化の乗り味)
現行レクサスISは「鍛えた走りの味」という言葉で表現されるように走行性能を重視したスポーツセダンです。後輪駆動を基本とするFRレイアウトによりドライバーが意図したラインを描きやすくシャシー剛性の高さとサスペンションのセッティングが生む応答性が特徴です。F SPORTモデルでは専用の足回りやステアリングが採用されており走る楽しさを実感できる仕様となっています。加えてV6やV8といった大排気量エンジンを搭載したモデルでは加速感とエンジンサウンドが一層強調されてきました。これが現行ISの「走り」の事実としての評価です。
一方で次期世代を示唆するLF-ZCではBEV専用の技術が導入されることが明らかにされています。四輪駆動システム「DIRECT4」は前後モーターのトルク配分を瞬時に制御する仕組みであり路面状況に応じた最適な駆動力配分が可能です。さらにステアバイワイヤが採用されドライバーの操作を電子的に伝達することで応答性と安定性の両立が期待されています。バッテリーを床下に配置するBEVパッケージは低重心化を実現し旋回性能の向上につながります。加えて回生ブレーキと協調した制御により減速から加速への切り替えが滑らかになる点も特徴です。つまり現行ISが培ってきたFRスポーツの魅力を引き継ぎながら電動化ならではの制御技術が組み合わさることで新次元の走行性能が提示されているのです。
価格は?(現行価格レンジと次期の目線)
現行レクサスISの国内販売価格は公式サイトで明示されており481万円から950万円の範囲に設定されています。エントリーとなるIS300が481万円台からでありハイブリッド仕様のIS300hやV6を搭載するIS350は600万円台から800万円台に位置します。最上位のV8搭載モデルであるIS500 F SPORT Performanceは950万円前後となりシリーズの頂点に立ちます。このようにISの価格帯はプレミアムスポーツセダンとして欧州の競合モデルに並ぶ水準です。ここで確認すべきは次期モデルの価格についてはまだ公式に発表されていないという事実です。レクサスは2026年前後にBEVセダンを導入するとしていますが価格水準については一切明示していません。したがって確定情報として提示できるのは現行モデルの価格帯にとどまります。ただし電動車は購入時の補助金制度や充電インフラ整備に関わるコストが利用者の負担感に直結するため消費者が検討する際には車両価格と合わせて総支出を意識する必要があります。現段階で確実に言えることは現行ISの価格帯が481万円から950万円であることと次期モデルの価格は未公表であるという二点です。この線引きを明確にしたうえで読者は判断材料を整理することが重要です。
何人乗り?サイズは?(主要諸元で比較)
現行レクサスISの乗車定員は5名です。これは主要諸元表に明記されており前席2名後席3名の構成となっています。サイズについては全長4,710mmから4,760mm、全幅1,840mm、全高1,435mmから1,440mm、ホイールベース2,800mmという数値が公表されています。グレードによる装備やエアロ形状の違いで全長や全高にわずかな差がありますが基本的な寸法は共通しています。このサイズは欧州Dセグメントに相当しBMW3シリーズやメルセデスCクラスと直接競合する領域に位置付けられます。室内空間についてはセダンとして標準的な広さであり後席の足元や頭上空間も主要ライバルと同水準です。次期モデルについてはLF-ZCが示されているものの具体的な数値はまだ公式に発表されていません。したがって確定情報として提示できるのは現行ISの諸元に限られます。BEV専用プラットフォームではバッテリーを床下に配置するためホイールベースや全長が拡大する可能性があると一般的に説明されますがISの後継について実際にどうなるかは未公表です。事実に基づいて整理すると現行ISは5人乗りで全長4.7m台、全幅1.84m、全高1.44m前後という寸法を持つプレミアムセダンであるということになります。これが利用者が参考にできる確定した情報です。
内装は?(質感×HMIの進化軸)
現行レクサスISの内装はスポーツ志向と上質感を兼ね備えています。F SPORTグレードでは専用のステアリングやアルミペダルが装備されシートもホールド性を重視した仕様となっています。上級グレードではセミアニリン本革シートが設定され快適性と質感を両立させています。インフォテインメント面ではディスプレイオーディオやタッチディスプレイが搭載されマークレビンソン製オーディオを選択することで高音質なサウンド環境を楽しめます。さらに運転支援機能も搭載され安全性と利便性が確保されています。
次期世代を示唆するLF-ZCの内装コンセプトでは大画面のHMIとソフトウェア定義型のUXが強調されています。レクサスはソフトウェアプラットフォーム「Arene OS」に基づいたアップデート性を打ち出しておりインターフェースが継続的に進化する方向を示しています。内装デザインはシンプルかつ没入感のある体験を重視し運転中も直感的に操作できる環境を整えることを目指しています。現行ISが高い素材品質と音響体験を重視していたのに対し次期モデルはHMIの拡張性やソフトウェアによる機能進化を前提とした方向へと移行しているのです。これらはレクサスが公式に発表したコンセプトであり確定情報として提示できます。
荷室は?
レクサスISの荷室容量は公式FAQに明記されています。IS300、IS350、IS500は379リットルでありハイブリッドのIS300hは342リットルです。さらにアクセサリーコンセントを装着した場合は293リットルとされています。これはVDA方式で計測された数値です。海外の自動車情報サイトでは450リットルと紹介される場合もありますがこれは計測規格が異なるため数値差が生じています。自動車の荷室容量はVDA方式やSAE方式など複数の測定基準が存在し同じ車両でも容量が異なって表示されることがあるのです。読者が情報を整理する際にはどの規格で算出された数値かを確認することが重要です。ISの荷室はセダンとして標準的でありゴルフバッグや日常の荷物を積む用途には十分ですが後席を倒せない仕様のため長尺物の収納には制約があります。これが公式に公表されている数値であり利用者が確実に参照できる情報です。したがって現行ISの荷室容量は379リットルまたは342リットルであり計測規格の違いにより異なる表記が存在することを理解する必要があります。
パワートレイン(次期の電動化)
現行レクサスISのパワートレインは複数のバリエーションが用意されています。2.0リッター直列4気筒ターボエンジン(8AR-FTS)を搭載するIS300、2.5リッターハイブリッドシステム(2AR-FSE+モーター)を搭載するIS300h、3.5リッターV6エンジン(2GR-FKS)を搭載するIS350、そして5.0リッターV8エンジン(2UR-GSE)を搭載するIS500です。トランスミッションは8速ATまたはeCVTが組み合わされ駆動方式はFRが基本で一部グレードにはAWDが設定されています。これらは公式の主要諸元に記載された確定情報です。
次期世代についてはLF-ZCの技術解説により電動化が明確に示されています。BEV専用プラットフォームの採用によりモーター駆動が本流となり四輪駆動システムDIRECT4の搭載が予定されています。このシステムは前後のモーター出力を瞬時に最適配分することで走行安定性と応答性を両立させる仕組みです。さらにバッテリー配置による低重心化やステアバイワイヤとの組み合わせにより従来のエンジン搭載車では得られなかった制御精度が実現される方向性が公式に示されています。したがって現行ISの多様なエンジンラインナップは終了し次期世代では電動パワートレインへ移行することが事実として確定的です。
何が“新しい”?何が“すごい”?
次世代レクサスのBEVセダンを示すLF-ZCでは従来のエンジン搭載セダンとは根本から異なる構造が採用されています。まずBEV専用パッケージを前提に設計されているためバッテリーを床下に配置することで室内空間を最適化しプラットフォーム自体を小型軽量化することが可能になっています。これにより居住性と走行性能の両立が期待されます。さらにソフトウェアによる制御を前提にした構成となっておりアップデートを通じて機能が継続的に進化していく仕組みが用意されています。つまり車両購入後も体験価値が変化していくという点が従来の車両と大きく異なる点です。加えてステアバイワイヤが採用されており機械的な接続を介さず電子的に操作を伝達するため操舵応答性が高まりドライバーが意図した通りの挙動が得やすくなります。これをDIRECT4の前後駆動力配分と組み合わせることで路面状況に応じた精密な制御が可能になります。これらの要素はレクサスが公式に解説している内容であり新型モデルが従来の延長ではなく新世代の価値を備えることを示す事実です。したがって「新しい」とはBEV専用構造とソフトウェア中心の発想であり「すごい」とはドライバー体験を継続的に進化させる点にあるといえます。
乗り心地は?(現行評価軸とBEV時代の指標)
現行レクサスISでは乗り心地の評価軸としてサスペンションの減衰制御や制振性能が挙げられます。F SPORTに装備されるアダプティブバリアブルサスペンション(AVS)は路面や走行状況に応じて減衰力を自動的に調整し快適性と操縦安定性を両立させています。さらにパフォーマンスダンパーがボディの振動を抑え操縦のしやすさと上質な乗り心地を確保しています。つまり現行ISはスポーツ性と快適性の両立を目指す工夫が施されているのです。
次期世代を示すLF-ZCではBEV特有のバッテリーレイアウトによる低重心化が乗り心地に影響します。車両の安定感が高まりコーナリングや直進時の揺れが抑えられる方向性が示されています。さらに可変減衰機構を組み合わせることで滑らかな乗り心地とスポーツ走行時の引き締まった感覚を両立できると解説されています。電動化により静粛性が高まる点も快適性に寄与します。モーター駆動ではエンジン音や振動が少なく乗員はより静かな室内環境を得ることができます。つまり現行ISが機械的制御で上質さを追求していたのに対し次期BEVセダンは電動化技術と統合制御によって「静」と「動」の両方の快適性を確保する方向が事実として示されているのです。
競合他車は?
レクサスISの競合モデルは欧州プレミアムブランドのセダンが中心です。BMW3シリーズはドライビング性能に優れるモデルとして知られメルセデスベンツCクラスは快適性と高級感で定評があります。アウディA4やA5はクワトロシステムによる安定性と先進的な内装が特徴です。さらにアルファロメオジュリアはイタリア車らしいハンドリングとデザインで評価されています。国内市場では日産スカイラインが長年のライバルとして位置付けられてきました。これらはいずれも5人乗りのDセグメントセダンとしてISと直接競合する立場にあるモデルです。
一方で次期世代がBEV化する流れを踏まえると競合対象は変化していきます。テスラModel3はBEVセダンの代表格として広く販売されており航続距離やソフトウェアによる進化が特徴です。BMWもi3セダンを投入し電動化を進めています。さらにポールスター2は北欧ブランドのBEVセダンとして存在感を高めています。これらはすでに市場で確立したBEVモデルであり次期レクサスBEVセダンと直接比較されることが想定されます。現行ISがガソリンやハイブリッドを軸に欧州Dセグメントと競ってきたのに対し次期は電動車市場で新たな競合と向き合うことが確実です。これが事実に基づいて確認できる競合関係の現状です。
購入・乗り換え戦略(2025年〜2026年)
現行レクサスISは2025年11月をもって生産終了が公式に案内されています。対象となるのはIS500、IS350、IS300h、IS300であり各グレードともに注文受付は生産枠の終了によって早期に締め切られる可能性があります。したがって「今買うべきグレード」を考える際にはまず在庫や生産枠の状況を確認することが重要です。特に注目されるのはV8を搭載したIS500であり自然吸気5.0リッターエンジンとFRレイアウトを組み合わせた仕様は今後新車で入手できなくなる希少な存在です。中古市場においても希少性が高まり残価が維持される可能性が指摘されています。
またV6を搭載したIS350やハイブリッド仕様のIS300hもバランスの取れた選択肢として評価されていますが新車として購入できる期間が限られるため早めの決断が必要です。中古相場についてはV8モデルを中心に価格が上昇傾向に転じる可能性があるため購入希望者は市場の動きを注視すべきです。つまり現行ISを新車で入手するなら2025年内が事実上のタイムリミットでありその後は中古車が主な選択肢になります。乗り換えを検討するユーザーにとっては希少価値の高いモデルを確保するか次期BEVセダンの登場を待つかという二択の戦略が現実的です。これらは公式の生産終了告知に基づいた確定情報であり消費者が判断する際の事実として提示できます。
Q&A
ここでは読者が特に関心を持つ質問とその回答を事実に基づいて整理します。
Q:新型ISの発売は確定していますか?
A:現時点で新型ISの発売は公式に発表されていません。レクサスはLF-ZCを2026年前後に市場投入すると公表していますが名称がISとして継続するかは未定です。したがって確定しているのは現行ISが2025年11月で生産終了することとLF-ZCが2026年頃に導入予定であることです。
Q:現行のサイズや乗車定員はどうなっていますか?
A:現行ISの乗車定員は5名です。全長は4,710mmから4,760mm、全幅は1,840mm、全高は1,435mmから1,440mm、ホイールベースは2,800mmです。これらは公式の主要諸元に記載された確定値です。
Q:荷室は狭いのでしょうか?
A:IS300、IS350、IS500の荷室容量は379リットル、ハイブリッドのIS300hは342リットルです。さらにアクセサリーコンセント装着車は293リットルとされています。これは公式FAQに記載されたVDA方式での計測値です。海外メディアでは450リットルと表記される場合がありますが測定規格の違いによるものです。
Q:価格の目安はどのくらいですか?
A:現行ISの国内価格帯は481万円から950万円です。IS300が481万円台から始まりIS500は950万円前後となります。次期モデルについては価格が未発表であるため現時点で確定的に示せるのは現行モデルの価格帯のみです。
あとがき
レクサスISというモデルは長い歴史の中で常に「ハンドリングの良さ」と「上質な質感」の両立を追求してきました。1999年に初代モデルが登場して以来、FRレイアウトを採用し、欧州Dセグメントのプレミアムセダンを明確に意識した設計が特徴でした。現行型でもこの基本姿勢は変わらず、走りの楽しさを大切にしながら上質な内外装や高い静粛性を備えることで「日本発のスポーツセダン」として独自の立ち位置を築いてきました。特に最上位モデルのIS500 F SPORT Performanceは自然吸気V8エンジンを搭載し、FRという伝統的な駆動方式と組み合わせることでダイレクトで力強い加速と官能的なエンジンサウンドを実現しています。レクサスのラインアップの中でも最後のV8・FRセダンという存在であり、記号性を持つモデルであることは事実です。これは新車として今後入手できなくなることが公式に確定しているため、自動車史の中でも特別な位置を占めるといえます。
一方で、レクサスはすでに次世代を見据えた方向性を明確に示しています。2026年頃の導入を予定しているLF-ZCはBEV専用プラットフォームを採用し、ソフトウェアを基盤とする制御システムやステアバイワイヤといった技術を搭載することが公表されています。これは「電動」「ソフトウェア」「モジュール化」という三つの要素で自動車の価値を再定義する試みです。走りの質感は従来のエンジン音や振動による演出ではなく、モーターの静粛性と精密な制御で新しい体験を形づくる方向に移行していきます。従来のISが大切にしてきた切れ味の良いステアリング応答や、FR特有のリニアな挙動は多くのユーザーから高く評価されてきました。次期世代がこの「ISらしさ」をどのように翻訳していくのかは極めて重要なテーマです。
現行ISの強みは、日常の快適性を確保しながらもワインディングロードで俊敏に応答する操縦感覚と、上質な素材を用いたインテリアにあります。これらは数値化しにくい魅力であり、実際にステアリングを握ったときの感覚としてユーザーの記憶に残る部分です。次世代BEVセダンではDIRECT4による駆動力配分やソフトウェアアップデートによる継続的進化が約束されていますが、それが果たして現行ISが築いてきた「走りの味」と同等の満足感を提供できるかどうかは大きな課題です。つまり期待と懸念の両面が存在するのです。
ISというモデルは単にスペックや性能だけで語れるものではなく、ドライバーが運転席に座った瞬間に感じる「一体感」と「信頼感」が大きな価値を持っていたという事実です。5.0リッターV8の存在感はその象徴であり、スポーツセダンというジャンルを愛する人々にとって強い印象を残しました。これに対して次期BEVセダンは、パワートレインの仕組みも車両の構造も大きく異なるため、これまでの体験をそのまま再現することはできません。しかし、レクサスが公式に示した技術資料を見る限り、目指しているのは単なる電動化ではなく、新しい時代にふさわしい「走る歓び」の再構築です。
総じて、現行ISは最後のFRスポーツセダンとしての役割を全うし、次期BEVセダンはその精神を新しい形で表現することが期待されています。確定している事実は現行ISが2025年11月に生産を終了することと、LF-ZCが2026年頃に導入予定であることです。そのうえで私たちは、切れ味の良い応答と上質感という「ISらしさ」が電動化の時代にどのように再定義されるのかを注視し続ける必要があります。
レクサスISの歴史の中でも特に強い印象を残したのがIS500 F SPORT Performanceです。自然吸気5.0リッターV8エンジンを搭載しFRレイアウトと組み合わせたこのモデルは圧倒的な加速感と力強いエンジンサウンドを備えていました。エンジン型式は2UR-GSEであり、最高出力やレスポンスは純粋なスポーツセダンとして高い完成度を誇りました。さらに電子制御だけに頼らないリニアな挙動がドライバーに「操る楽しさ」を与えたのです。世界的に見ても自然吸気V8とFRという組み合わせはすでに稀少となっており排出ガス規制や電動化の流れによって生産終了が避けられなくなりました。
ユーザーや愛好家の中には「最後まで残して欲しかった」という声が根強くあります。実際にレクサス公式が2025年11月の生産終了を告知したことで、V8・FRセダンは新車として手に入らなくなることが確定しました。だからこそIS500は記念碑的な意味を持ち中古市場では希少性がさらに高まると考えられます。かつて欧州メーカーが自然吸気V8を次々と手放していった歴史を振り返ると、このモデルの存在価値は一層際立ちます。レクサスがFRのV8セダンを維持し続けたこと自体が挑戦であり、ブランドの走りに対する真摯な姿勢を示したものです。
本音を言えば時代の要請に応えながらも伝統的なV8 FRセダンを一部残して欲しいという思いは強く残ります。しかし電動化を進める中で新しい走行体験を提供する方向性が公式に示されている以上、私たちは次の世代に期待を寄せつつ最後のV8モデルを記憶に刻むしかありません。IS500 F SPORT Performanceは「本当は残して欲しかった」と語られる存在であり、同時にレクサスが走りの本質を追求してきた証でもあるのです。
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