2025年10月18日(土)18:00〜18:30、テレビ朝日系で放送される『人生の楽園 ~ようこそ!わたしの庭へ~』。今回の舞台は、岩手県二戸市の高台に広がる藤嶋淑子さん(68歳)と夫の明範さん(70歳)の「ニノガーデン」です。荒地だった畑を少しずつ整え、草花と彫刻が響き合う庭を夫婦で育ててきたという物語。風が抜ける丘に広がるこの庭は、訪れる人の心を静かに癒し、「人と自然の共生」を感じさせる場所として注目を集めています。
この記事では、番組放送にあわせてニノガーデンの魅力を多角的に紹介します。公式情報・アクセス・見どころ・花と彫刻の特徴・周辺観光・宿泊案内、そして庭づくりに込められた想いまで――。
読むだけで、まるで二戸の風を感じるような“旅のような時間”をお届けします。
ニノガーデン公式情報
岩手県二戸市の高台に広がる「ニノガーデン」は、四季の移ろいとともに表情を変える“自然とアートの庭”です。春から初夏、そして秋の限られた期間だけ一般公開され、宿根草や山野草、そして石彫刻が静かに調和する空間が訪れる人々を迎えます。ドッグランも併設され、ペット連れでも安心して散策できるのが魅力です。公式サイトでは開園スケジュールやイベント情報が更新されているので、訪問前の確認がおすすめです。
名称 | ニノガーデン(Nino Garden) |
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所在地 | 岩手県二戸市下斗米字長嶺58-1 |
開園期間 | 春(4〜7月)/秋(9〜10月)限定公開 |
営業時間 | 10:00〜16:00(季節・天候により変動あり) |
駐車場 | あり(約10台) |
ペット同伴 | 可(ドッグラン併設・リード着用) |
公式サイト | https://nino-garden.com |
お問い合わせ | info@nino-garden.com |
この庭は、藤嶋明範さん・淑子さんご夫妻が6年をかけて育て上げた「時間の芸術」です。二戸の風や光をそのまま取り込みながら、花々と彫刻が響き合う空間には、人と自然が共に生きるための静かなメッセージが息づいています。
ニノガーデン アクセスマップ
ニノガーデンは、岩手県二戸市の静かな丘の上に広がる自然庭園です。最寄り駅から車で約15分とアクセスも良く、東北新幹線「二戸駅」からの観光にも立ち寄りやすい場所にあります。国道4号線から県道6号を経由し、田園風景の中を進むと、ゆるやかな坂の先に“緑と彫刻の庭”が姿を現します。駐車場は無料で利用でき、春や秋の行楽シーズンには混雑を避けて午前中の来園がおすすめです。
所在地 | 岩手県二戸市下斗米字長嶺58-1 |
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最寄駅 | 東北新幹線 二戸駅(車で約15分) |
主要アクセス | 国道4号線から県道6号経由(案内看板あり) |
目印 | 「長嶺」交差点付近。道路沿いに石彫刻の看板あり。 |
駐車場 | あり(約10台・無料) |
Googleマップ | ニノガーデン MAPを見る |
🚗 車で訪れる方へ
・カーナビ検索では「ニノガーデン」または「岩手県二戸市下斗米58-1」で設定可能です。
・道幅が狭いエリアがあるため、離合時はスピードを落として走行を。
・冬季は積雪のため閉園。秋季公開(9〜10月)終了前は紅葉シーズンで混雑するため、時間に余裕を持っての来園をおすすめします。
🚌 公共交通機関を利用する場合
・二戸駅からタクシー利用(約15分)
・バス路線は近くに停留所がないため、事前のタクシー手配が便利です。
ニノガーデンとは
岩手県二戸市の丘陵地に広がる「ニノガーデン」は、自然とアートが響き合う静かな庭園です。この場所を育てたのは、関東からUターンした藤嶋明範さん・淑子さんご夫妻。かつて畑だった土地を少しずつ整え、6年という歳月をかけて生まれたのが、今のニノガーデンです。季節の移ろいに合わせて咲く花々と、夫・明範さんの手による石彫刻が並ぶ景観は、まるで自然そのものが一つの美術館のようです。訪れる人は、花の香りと風の音に包まれながら「人が自然と寄り添って生きる」という時間の尊さを感じ取ることができます。
名称 | ニノガーデン(Nino Garden) |
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創設者 | 藤嶋 明範 さん・藤嶋 淑子 さん(ご夫妻) |
開園までの年月 | 約6年(荒地を再生し、庭として整備) |
特徴 | 岩手の在来植物・宿根草と彫刻が共存するアートガーデン |
主な植栽 | アナベル・ギボウシ・アスチルベ・コスモス・バラ・クサボタン など |
代表的な彫刻作品 | 「宇宙ゆく船」「風の記憶」「時を刻む石」 など |
面積 | 約1,500坪(庭園エリア+遊歩道) |
公開期間 | 春(4〜7月)・秋(9〜10月) |
🌸 自然と共に変化する“生きた庭”
春には雪解けとともに山野草が芽吹き、夏は緑が濃く、秋は紅葉と彫刻が一体化する幻想的な風景へ。
訪れるたびに異なる表情を見せるため、リピーターも多く、近年では写真家やガーデンファンにも注目されています。
🪨 彫刻が語る「時」と「記憶」
園内に点在する石彫作品は、風や雨によって少しずつ風合いを変え、自然とともに成長していく“生きた彫刻”。その佇まいは、時間と共に移り変わる人生の軌跡のようでもあります。
彫刻と花の魅力・特徴
ニノガーデンの魅力は、四季折々の花々と石彫刻がひとつの風景として調和していることです。花が主張しすぎず、彫刻が静かに寄り添い、どの角度から見ても絵になる配置がなされています。まるで庭全体が“生きたアート作品”のようで、自然の音や光が時間とともにその表情を変えていきます。春はアナベルやギボウシがやわらかく咲き、夏には緑が濃く、秋にはコスモスや紅葉が風に揺れる——。その傍らで石彫刻が静かに佇み、光と影が織りなす自然の彫刻を完成させます。ペット同伴でも歩きやすい小径が整備されており、愛犬とともに四季の彩りを楽しむこともできます。
主な彫刻作品 | 「宇宙ゆく船」「風の記憶」「時を刻む石」など |
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主な花々 | バラ・コスモス・アナベル・ギボウシ・アスチルベ・クサボタン |
園内の小径 | くるみの殻道・ウッドチップ道・芝生広場・花のトンネル |
見どころ | 季節ごとの色彩変化・光と影のコントラスト・自然と彫刻の融合 |
ペット連れ | ドッグラン併設・リード着用で散策可能 |
🌼 四季を描く“自然のパレット”
春は柔らかな緑と白い花が庭を包み、夏は草の香りが濃く漂い、秋には紅や金のグラデーションが風に舞います。その中に点在する彫刻たちは、自然の変化に呼応するように姿を変え、見る人に静かな感動を与えます。
🪨 彫刻と自然の対話
藤嶋明範さんの彫刻は、力強さよりも“調和”を大切にした作風。どの作品も、周囲の木々や空の色に溶け込むように置かれています。風の音や木漏れ日とともに変化するその佇まいは、訪れるたびに新しい発見をもたらします。
“旅ストーリー”紹介
10月18日放送の『人生の楽園 ~ようこそ!わたしの庭へ~』では、岩手県二戸市の里山に広がるニノガーデンが紹介されました。荒れた畑を少しずつ整え、6年の歳月をかけて庭へと生まれ変わらせた藤嶋ご夫妻の姿には、静かな情熱と希望が感じられます。番組では、草木が風に揺れる音、石彫刻に落ちる陽の光、そしてご夫妻の穏やかな笑顔を通して「自然と共に生きる暮らしの豊かさ」が丁寧に描かれていました。
この庭づくりの原点は、“無理をせず、できることから”という想い。都会での生活を経て再び二戸へ戻ったお二人が、土地の記憶を受け継ぐように少しずつ植栽を増やし、彫刻を配置していく過程は、まさに再生と創造の物語そのものです。番組をきっかけにこの地を訪れた人々は、自然の中に流れるゆるやかな時間と、人の手が加わることで生まれる“心の景色”に気づくことでしょう。
番組名 | 人生の楽園 ~ようこそ!わたしの庭へ~ |
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放送日 | 2025年10月18日(土)18:00~18:30 |
放送局 | テレビ朝日系列 |
放送内容 | 岩手県二戸市にある「ニノガーデン」での庭づくりと、藤嶋ご夫妻の再生の物語。 |
見どころ | 自然とアートの融合・Uターン後の挑戦・人と土地のつながり |
🌿 番組が伝えた“静かな情熱”
藤嶋明範さんが石を彫る音、淑子さんが花を手入れする姿、そして庭に吹く秋風。それらの情景が重なり合って映し出すのは、「生き方そのものが庭になる」という人生の哲学です。番組では派手な演出を避け、淡々とした日常の中にある美しさを丁寧に切り取っていました。
🚶♀️ 視聴者の“心の旅”としてのガーデン
番組を見た人の多くが「自分もこんな場所を作りたい」「静かに土に触れて暮らしたい」と感じたはずです。ニノガーデンは、単なる観光地ではなく、誰もが“帰ってこれる心の風景”。番組が終わったあとも、その余韻が長く残るのは、この庭が“人と自然が共に生きる形”を静かに語っているからです。
写真や動画で見るニノガーデンの風景
ニノガーデンの魅力は、同じ場所でも季節ごとにまったく違う姿を見せてくれることです。春の柔らかな光、夏の深い緑、秋の黄金色の風景——そのすべてがひとつの庭の中で静かに移ろいます。歩くたびに香りが変わり、風の音が変わり、見る人の心まで穏やかに整えてくれるようです。
この章では、写真や動画で感じる“ニノガーデンの四季”をご紹介します。公式サイトやSNSには、ドローン撮影・360°パノラマビューなどの映像も公開されており、自宅にいながらも庭の息づかいを感じることができます。
季節 | 風景の特徴 | 見どころ・おすすめ撮影ポイント |
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春(4〜6月) | 宿根草が芽吹き、白や薄紫の花々が風に揺れる。 庭全体が柔らかく霞むような光に包まれる。 |
「くるみの殻道」沿いの小径で新緑と彫刻のコントラストを撮影。 |
夏(7月) | 緑が濃くなり、石彫刻が草陰から静かに顔をのぞかせる。 葉の影が揺れ、光と影のリズムが美しい季節。 |
「芝生広場」からの広角ショットや、日中の木漏れ日を狙った構図。 |
秋(9〜10月) | 紅葉・コスモス・アナベルが色づき、栗の実が落ちる季節。 金色の風に包まれ、庭全体が静かな輝きを放つ。 |
「風の記憶」彫刻周辺で紅葉と彫刻の共演を撮影。 |
📷 写真で感じる“季節の詩”
・春:生命の始まりを告げる淡い緑と光のグラデーション。
・夏:濃密な空気の中で、彫刻と自然が最も近づく時間。
・秋:陽だまりと紅葉、落ち葉の音までが静かなリズムを奏でる。
それぞれの季節に違った色と香りがあり、まるでニノガーデンそのものが呼吸しているようです。
プラットフォーム | アカウント・リンク | 概要・特徴 | 備考 |
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@ninogarden | 岩手県二戸市の庭と彫刻、季節の花々の写真・動画を多数投稿 | フォロワー数 700〜800人程度(Instagram) | |
公式サイト (ブログ/お知らせ) |
nino-garden.com|お知らせ | イベント情報を掲載。Instagram・Facebookへのリンクあり(SNS発信と連動) | — |
地域ページ紹介投稿 | 二戸の観光系ページでニノガーデンの紹介投稿あり | — |
🎥 ドローン映像・360°ビューで体感する
空から眺めるニノガーデンは、まるで絵画のような美しさ。丘の起伏に沿って配置された小径や彫刻の配置が立体的に見え、歩くだけでは気づかない構成美を発見できます。YouTube公式チャンネルやSNSでは、ドローン映像・タイムラプス動画が公開されており、季節ごとの庭の変化を楽しめます。
よくある質問(FAQ)
ニノガーデンを訪れる前に、開園時期や混雑、ペット連れでの来園などについて気になる方も多いでしょう。ここでは、実際の来園者の声や公式情報をもとに、よく寄せられる質問をまとめました。静かな時間を楽しむためにも、事前の確認をおすすめします。
Q1:季節によって営業していますか?
はい。ニノガーデンは春(4〜7月)と秋(9〜10月)限定で一般公開されています。冬季は雪に覆われるため閉園期間となります。開園日は天候により変わる場合があるため、訪問前に公式サイトで最新情報を確認してください。
Q2:混雑する時間帯や待ち時間はありますか?
春の花の見頃(5〜6月)と、秋の紅葉シーズン(10月中旬〜下旬)は来園者が増えます。特に週末の午前中は混雑することがあるため、午後の時間帯を選ぶと比較的ゆっくり散策できます。駐車場は10台程度のため、混雑時は時間に余裕をもって到着するのがおすすめです。
Q3:ソフトクリームやカフェはありますか?
現在、園内に飲食施設はありません。ただし近隣には二戸市街地のカフェやベーカリーがあり、ピクニック気分で軽食を持ち込む方も多いです。ごみは必ず持ち帰るなど、自然を大切に楽しむマナーを心がけましょう。
Q4:ペット連れでも大丈夫ですか?
はい。ドッグランが併設されており、リードをつけたまま園内の散策が可能です。ほかの来園者や花壇に配慮しながら歩けば、ペットと一緒に自然を満喫できます。
Q5:雨の日も見学できますか?
雨の日も開園していますが、足元がぬかるむため長靴や防水靴の着用がおすすめです。雨上がりには草木がより鮮やかに映え、彫刻の表面に水滴が光る幻想的な風景を楽しめます。
公開期間 | 春(4〜7月)・秋(9〜10月)/冬季は閉園 |
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開園時間 | 10:00〜16:00(天候により変更あり) |
ペット同伴 | 可(ドッグラン併設・リード必須) |
駐車場 | 約10台・無料 |
飲食 | 持ち込み可(要ゴミ持ち帰り) |
雨天時 | 見学可・長靴推奨 |
💡 ワンポイントアドバイス
・花や彫刻を撮影する際は、他の来園者の視線を妨げないように配慮を。
・春は風が強く、帽子が飛ばされやすいので注意。
・秋は栗が落ちていることがあるため、滑りやすい箇所では足元に気をつけましょう。

関連情報・回遊案内
ニノガーデンを訪れた際は、周辺の温泉・自然・伝統工芸などもあわせて巡ると、二戸の豊かな文化をより深く感じられます。
以下では、庭園から車でアクセスしやすい観光スポットと宿泊施設をまとめました。
二戸市周辺の観光案内
- 金田一温泉郷(車で約15分) – 岩手を代表する名湯。源泉かけ流しと郷土料理が楽しめます。
- 折爪岳(ヒメボタル観賞スポット) – 夏の夜に無数のヒメボタルが光る幻想的な名所。
- 浄法寺漆の森資料館(伝統工芸) – 国産漆の一大産地・浄法寺の歴史を学べる資料館。
宿泊施設一覧
ニノガーデンの散策とあわせて宿泊を楽しむなら、二戸市周辺には温泉や地元食材が味わえる宿があります。自然と調和した穏やかな時間を過ごせるおすすめ宿をご紹介します。
宿泊施設名 | 住所・連絡先 | 特徴・公式サイト |
---|---|---|
金田一温泉旅館「緑風荘」 | 〒028-5711 岩手県二戸市金田一字長川41 TEL:0195-27-2131/FAX:0195-27-2133 |
「座敷わらし伝説」の舞台として知られる名湯宿。 落ち着いた和の空間で温泉と郷土料理を堪能。 ▶ 公式サイト(zashiki-warashi.co.jp) |
二戸シティホテル(天然温泉 黎明の湯) | 〒028-6101 岩手県二戸市福岡字下町17 TEL:0195-23-9111/FAX:0195-23-9310 |
二戸駅から徒歩圏内、天然温泉「黎明の湯」を備えたビジネスホテル。 駐車場無料・Wi-Fi完備。 ▶ 公式サイト(ninohecityhotel.co.jp) |
ふれあい宿「しらかば」 | 岩手県二戸市内(詳細確認中) ※公式連絡先は確認中です。二戸市観光協会へのお問い合わせを推奨します。 |
地元食材を使った手料理と家庭的な雰囲気が魅力。 ▶ 二戸市観光協会公式サイトで確認する |
どの宿もニノガーデンから車で20分圏内。春・秋の観光シーズンは予約が集中するため、事前の宿泊手配をおすすめします。
観光マップリンク
市街地の飲食店や特産品情報も掲載されているため、ニノガーデン訪問の計画に役立ちます。特に秋は紅葉と食の季節。温泉や地元グルメとあわせて「二戸時間」を満喫してみてください。
“わたしの庭”が映すもうひとつの風景
旅の終わりに立ち返ると、そこには特別な出来事がなくても、心を満たしてくれる時間があります。ニノガーデンの土の上に立つと、ただ風が通り抜けるだけの瞬間に、なぜか涙腺がゆるむ——そんな感覚を覚える人も少なくありません。
花が咲いて散るように、人生にも静かに流れる季節があります。都会の喧騒から離れ、手を動かし、風を感じ、草木と語らう暮らし。それは便利さを手放すかわりに「生きる実感」を取り戻す営みでもあります。
この庭を育てたご夫妻は、自然に導かれるようにしてこの地に根を下ろしました。ひとつの石を置くたび、ひと株の花を植えるたびに、「人がつくる庭」と「自然が育てる庭」の境界がゆるやかに溶けていきます。それはまるで、土地と人との“対話”のようです。
そして今、この庭は訪れる人々の心に「静かな問い」を投げかけています。忙しさの中で見失いかけた“豊かさ”とは何か。足元の草花や光の移ろいが、私たちの感性を少しずつやさしく揺り戻してくれるのです。
旅を終えたあと、帰り道の車窓から見える風景も、どこか違って見えるかもしれません。それは庭が変わったのではなく、私たちの“見方”が変わったから。二戸の風が、少しだけ心に吹き抜ける。そんな感覚を胸に、また次の旅へと向かいたくなる——ニノガーデンには、そんな“余韻”があります。
草木と石が語る庭 ― 二戸・ニノガーデンに残る時間の軌跡
庭には、その土地を記憶する力があります。人が何かを創ろうとする前から、そこに吹く風、しみ込む雨、芽吹く草がありました。二戸市の高台にあるニノガーデンは、まさにそんな自然の記憶と人の営みが溶け合う場所です。
この庭が生まれたのは、都会を離れたご夫妻が「ふるさとの土にもう一度根を下ろしたい」と思い立ったことから始まりました。荒れていた土地に向き合い、スコップを手に少しずつ整え、季節を感じながら手をかける日々。それは単なる造園ではなく、失われかけていた“土地の記憶”を掘り起こす行為だったのかもしれません。
土地と人がつくる、もう一つの「帰郷」
ご夫妻にとっての庭づくりは、帰郷そのものでした。都会で積み重ねた時間をいったん手放し、再び岩手の地で暮らすという選択。それは、過去と未来の間に橋を架けるような行為です。
この土地には、昔から根を張る木々が残っていました。大きなクルミの木、季節を告げる桜、風にそよぐススキ。それらを伐らずに生かし、そこに宿根草や彫刻を添えていく。「自然の声を聞きながら整える」という姿勢が、ニノガーデンを特別な場所にしています。
人の手で整えながらも、自然を完全には支配しない。そんな「半分だけ人の庭」というあり方が、訪れる人の心に安らぎをもたらしています。
彫刻と花が語り合う庭
庭の特徴のひとつは、彫刻と草花の共演です。無機質な石の作品と、有機的に育つ植物。その対比が、庭の中に静かな緊張感を生み出しています。
ご主人が手がけた彫刻「宇宙ゆく船」や「風の記憶」は、季節によって表情を変えます。春は若葉の中に柔らかく光り、夏は緑の影に沈み、秋には紅葉に包まれて金色に輝く。どの瞬間も、風景の一部として自然に呼吸しています。
訪れた人は花の香りや小鳥の声に耳を傾けながら、彫刻の前で足を止める。すると、時間の流れがふっと緩み、自分自身の内側にも静かな対話が生まれるのです。
時間を感じる散策 ― 季節が変わるたびに生まれる新しい物語
春から秋にかけて、ニノガーデンは色彩を何度も変えます。春はアナベルやギボウシが咲き、紫や白の花が風に揺れる。夏は緑が濃くなり、石の彫刻が木陰からのぞく。そして秋にはコスモスやコキア、栗の実が庭を彩り、夕暮れの光が柔らかく包み込みます。
散策道には、くるみの殻を敷いた小径、ウッドチップの道、芝生の広場があり、歩くたびに足音が変わります。まるで音楽のようにリズムを奏でながら、自然と人の境界が少しずつ溶けていく。
この庭を訪れると、時間の流れ方がいつもと違うことに気づきます。早く歩こうとしても、足がゆっくりになる。それは庭が“今この瞬間”を味わうようにと語りかけてくるからでしょう。
見えない努力が支える「静かな贅沢」
ニノガーデンの美しさは、決して偶然の産物ではありません。毎日の手入れ、草刈り、季節ごとの植え替え。強風や雪に耐えられる植物の選定、土の改良、彫刻のメンテナンス。そのすべてが、ご夫妻の日々の営みによって支えられています。
庭づくりは、時に思い通りにならない自然との対話です。花が咲かない年もあれば、虫や雨で荒れることもある。それでも「手をかけるほどに応えてくれる」という信念が、この庭に命を与え続けています。
“静かな贅沢”とは、こうした手間の積み重ねを受け取ることなのかもしれません。訪れる人は知らず知らずのうちに、その丁寧な時間を感じ取っているのです。
庭が問いかける「豊かさ」とは
この庭には、現代の暮らしへの小さなメッセージが込められています。便利さや効率を追い求めるほど、私たちは自然との距離を広げてきました。けれど本当の豊かさとは、面倒なことを丁寧にやることの中にあるのかもしれません。
雑草を抜き、枝を整え、花が咲くのを待つ。その「待つ時間」にこそ、心の余白が生まれる。ニノガーデンは、そんな“ゆるやかな時間”を思い出させてくれます。
手間を愛する暮らし。便利ではないけれど、心が満たされる生き方。この庭を訪れると、人と自然の距離の取り方を少し見直したくなります。
二戸という場所が持つ力
二戸の風土には、独特の穏やかさがあります。盆地を抜ける風、四季のはっきりした気候、夜の静けさ。その土地の気配が、ニノガーデンの空気を形づくっています。
市街地から車でわずか15分ほど。けれどそこに広がる風景は、まるで別世界です。花々の間を歩いていると、街の喧騒が遠ざかり、耳に届くのは鳥の声と風の音だけ。訪れるたびに「帰ってきた」と感じる人が多いのも、うなずけます。
二戸という場所は、便利ではないけれど、確かに人を癒す力を持っています。この地に庭をつくったこと自体が、自然との共生を選んだご夫妻の答えなのでしょう。
旅のあとに残るもの
番組を通してニノガーデンを知った人が、実際に訪れて感じるのは「懐かしさ」かもしれません。それは風景の懐かしさではなく、心の奥にある原風景に似た感覚です。
庭の中を歩き、花を見上げ、空を見つめる。その穏やかな時間の中で、人は自分の中にある静けさを取り戻します。旅の終わりに、何かを“得る”のではなく、ただ心が整う。それがニノガーデンという場所の本当の魅力です。
庭が教えてくれること
庭は、目で見るものではなく、心で聴くものだと思います。花が咲く音、風の流れ、葉のささやき。それらは私たちが忘れかけた“生きるリズム”を思い出させてくれます。ニノガーデンは、派手な観光地ではありません。けれど、訪れた人の心に長く残る。それは、便利さではなく“心の居場所”をつくっているからです。
自然と人の境界がやわらかく交わるこの庭には、現代を生きる私たちが忘れがちな「ゆっくり」という価値が息づいています。庭を歩いたあと、帰り道の風景が少し違って見えたなら、その時すでに、あなたの中にも小さな庭が生まれているのかもしれません。

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