大相撲秋場所2025見どころは?横綱復活と新星台頭【NHKで放映】

5年の秋場所(九月場所)は、14日(日)から28日(日)まで両国国技館で開催されます。年間六場所の中でも特に秋の一戦は、名古屋場所(七月場所)と九州場所(十一月場所)の中間にあたる節目であり、幕内上位の力士たちにとって成績を積み重ねる重要な場です。春の名古屋場所で結果を残せなかった力士には、名誉挽回の好機であり、また新横綱や新三役力士にとっては地位を固める正念場にもなります。2025年は特に新横綱「大の里」の誕生や若手の台頭が話題となっており、春場所後の勢力図の変化が注目されています。歴史と伝統を帯びながらも新しい風が吹き込む秋場所は、ファンにとって見逃せない一場所となります。

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秋場所の基本情報【2025年版】

開催日程と会場

2025年の秋場所は、令和7年9月14日(日)から9月28日(日)まで、東京・墨田区にある両国国技館にて開催されます。両国国技館は大相撲本場所の定番会場であり、相撲ファンには欠かせない場所です。 会場の所在地は東京都墨田区横網1-3-28であり、公共交通機関を利用してのアクセスも良好です。

チケット発売状況と観戦方法

チケットの一般発売は2025年8月9日(土)に開始されました。 しかし報道によれば、一般発売及び先行販売は早期に完売し、残席は車いす席のみという状況です。 また、公式のリセールサービスを通じて定価での入手を狙う方法や、旅行会社のプラン・お茶屋さんを通じた観戦パッケージなども有効な手段となります。

テレビ放送・配信情報

現時点で秋場所2025に関するテレビ中継や配信はNHKや民放各局、あるいはネット配信プラットフォームが中継を行う予定です。最新の放送予定については日本相撲協会の公式サイトや各メディアでチェックしてください。

NHKでは9/14(日)15:05〜18:00までから放送予定です。

秋場所はなぜ重要か?年間スケジュールでの位置づけ

夏場所である名古屋場所(七月場所)を経て迎える秋場所は、力士たちが前場所の反省や手応えを土俵で試す戦いとなります。その間に技術修正や稽古量を調整した上で本番に臨むため、状態の違いが結果に大きく影響します。特に新横綱や昇進間もない三役陣にとっては、自らの力を証明する格好のチャンスとなります。

また、秋場所は年間の優勝争いの流れを左右します。春場所や夏場所で優勝候補と目された力士がここで踏みとどまるか勢いを増すかで、年間「三賞」や各段位の序列にも影響が出ます。たとえば、横綱や大関の休場・復帰がある場合には、それが波乱要素ともなります。また幕内中位以下の力士にとっては、番付の昇降や次の場所での番付位置に直結するため、ひたむきな激闘が期待されます。

さらに、秋場所は翌年の一月場所(初場所)へ向けた序章ともなります。秋場所で好成績を残した力士は、年末の空気の中で注目を浴びつつ、新年の場所に向けた弾みをつけることができます。その意味で、秋場所は年間の相撲カレンダー上、とても重要な役割を果たす場所です。

横綱・大関陣の注目ポイント

横綱では新時代の旗手として大の里(おおのさと)が注目を集めます。名古屋場所で優勝を果たし、春・夏と連勝を重ねて史上最速13場所で横綱昇進を実現しました。日本出身の横綱として久々の誕生であり、伝統と新時代の融合を感じさせます。秋場所に向けては、9月3日に茨城・阿見町で稽古を再開し、いきなり20番の相撲を取るなど意欲的な態勢で調整を進めています。体がなまっていたという自覚から稽古強度を上げて臨んでおり、復活という表現ではなく、むしろさらなる飛躍を期す姿勢といえるでしょう。

一方でもう一人の横綱、豊昇龍(ほうしょうりゅう)も注目されます。モンゴル出身で投げや寄りといった攻めを得意とし、2023年に大関昇進後、2025年初場所には12勝3敗で優勝し、その存在感を確立しました。横綱昇進についても審議を経て推挙されており、安定感と爆発力の双方を併せ持つ力士として、秋場所でも見逃せない存在です。

大関陣では琴櫻(ことざくら)が注目です。2024年3月に昇進を果たし、祖父・元横綱琴櫻の名を受け継ぎました。7月の名古屋場所でも幕内上位で健闘し、その安定した四つ相撲と粘りは秋場所でも存在感を示す要因となります。稽古では2横綱との対戦で計14番に臨み6勝8敗と互角の戦いを演じており、本場所で結果を残す意気込みがうかがえます。

さらに、関脇以下から綱取りや大関取りを視野に入れる力士の存在も見逃せません。若隆景(わかたかかげ)は小兵ながらスピードと技術を武器に、先場所12勝3敗で殊勲賞を受賞し、大関取りの最有力候補に挙げられます。三役昇進を果たして新たなステージで結果を残せれば番付上昇への弾みとなります。

注目の若手力士【2025年の台頭株】

2025年の新三役として最も注目を集めるのは安青錦(あおにしき)です。ウクライナ出身の安治川部屋所属で、名古屋場所では前頭筆頭ながら11勝4敗の好成績を収めて三役昇進を決めました。その相撲には「渡し込み」や「内無双」など多彩な技が光り、横綱・豊昇龍から金星を奪うなどファンの注目を浴びました。史上最速・所要12場所での三役昇進も話題になっており、大関取りへの意欲も記者会見で語っています。

また、幕内上位の新鋭としては琴勝峰(ことしょうほう)が挙げられます。名古屋場所で平幕優勝を達成し、前頭5枚目まで番付を上げて臨む秋場所では、上位との対戦が頻発する見通しです。真価を問われる舞台を迎えるだけに、その勢いと戦術が注目されます。

さらに、若隆景も改めて若手の台頭株として注目されます。先場所の好成績から大関取りへの期待が高まっており、秋場所でも綱取りラインを見据えた取り口に進化が求められる情勢です。

このように三役常連を狙う新鋭、大器と呼ばれる若手、さらには海外出身の異色の存在まで、多様な力士たちが年少世代から勢いを見せる2025年秋場所となります。

ベテラン力士の意地と存在感

30代後半のベテランとして土俵に存在感を放つのは玉鷲(たまわし)や阿炎(あび)です。玉鷲は幕内中位ながらも長年の経験に裏打ちされた相撲で土俵を盛り上げます。阿炎は突き押しと変化の巧みさを併せ持ち、観る者を引き込む取り口で人気が高いです。先場所では双方とも安定した勝ち星を挙げており、秋場所でもその経験が生きるでしょう。

さらに、幕内に再昇格した錦木(にしきぎ)もベテランとして注目されます。盛岡市出身の錦木は、東十両筆頭から先場所8勝7敗で幕内復帰を果たしました。2場所ぶりの幕内復帰に意地を見せる姿は多くのファンに共感を呼ぶでしょう。

彼らベテランの存在感は若手との対比となり、相撲界の世代交代を実感させつつ伝統を支える重みをもたらします。経験豊富な土俵姿はファンを魅了しつつ後進への影響も大きく、観る者の心に深い印象を残すことでしょう。

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優勝争いの展望とライバル関係

2025年名古屋場所(七月場所)の結果を踏まえると、秋場所の優勝争いは多彩な顔ぶれが期待されます。名古屋場所で前頭5枚目として見事な平幕優勝を果たした琴勝峰が注目されます。また幕内上位として安定感を備えた若隆景も2桁勝利を達成し大関取りのチャンスを迎えています。さらに名古屋場所を休場した豊昇龍が復帰すれば、横綱としての実力を示す可能性があります。これらの結果から勢力図は横綱二人を軸に競い合う構図となります。

秋場所開幕前の段階での優勝予想では、横綱・大の里が本命とされており優勝確率は約40%です。対抗として横綱・豊昇龍が20%の支持を得ています。大関・琴櫻には10%、若隆景や琴勝峰、安青錦には各5%、その他の力士には約15%の可能性があると予想されています。これは実力伯仲の上位陣と潜勢力が混在する状況を示しています。

実力伯仲の上位陣としては、横綱二人の力が拮抗しており、特に豊昇龍は途中休場からの復帰地点にあるため注目です。大関・琴櫻は結果にやや波がありますが地力の高さで存在感を保っています。さらに若隆景は大関取りを狙う位置にあり、勢い次第では優勝争いに食い込む可能性を秘めています。琴勝峰の連覇も大きな話題となるでしょう。

ダークホース的存在としては、安青錦や阿炎、玉鷲ら幕内上位経験者が挙げられます。安青錦は新三役で勢いがあり波乱を呼び込める可能性があります。阿炎や玉鷲は経験値で意外な一番を演出する力があります。そのほか野心を持つ若手力士が番付下位から勝ち星を稼いで波乱を演出するシナリオも期待されています。

このように秋場所の優勝争いは、横綱・大の里と豊昇龍を軸に、大器の若手や実力者たちが交錯する構図で展開される見込みです。序盤の展開次第では波乱も起きやすく、誰が栄冠を手にするか予断を許さない一場所となります。

技の見所|秋場所で注目すべき決まり手

大相撲において決まり手の傾向を見ると「押し出し」「寄り切り」が多くの取組で登場します。過去5年間の統計によるとこの2つの決まり手が約50%を占めるという傾向があります。

具体的な力士別の傾向をみると、横綱・大の里は「押し出し」が42%、次いで「寄り切り」が28%という得意パターンを持ちます。意外性のある「叩き込み」も13%と多様な取り口を見せています。

一方で豊昇龍については、過去6場所の取組結果に基づき、最も多く使う決まり手は「寄り切り」(25%)、次が「押し出し」(13%)、そして「寄り倒し」(8%)という傾向が統計で確認されています。

こうした統計から、秋場所では基本技である押し相撲と差し相撲の基礎を押さえつつ、力士ごとの技の傾向にも注目すると一層楽しめます。とくに横綱・大の里の叩き込みや豊昇龍の寄り倒しのような技も要注目です。

さらに、変化や奇襲技にも関心が集まります。近年は技の多様化が進んでおり、若手力士や好調力士による変化突きや引き技により一場面で流れが変わることもあります。人気の取り口としては、圧倒的な力で押し切る「押し出し」や組み合いから制する「寄り切り」、意表を突く投げ系の技などバリエーションの豊かさこそ秋場所の見どころとなります。

ファンが注目する取組カード予想

ファンの視点では、注目カードはまさに「横綱 vs 新鋭」です。秋場所では新横綱・大の里と平幕優勝経験のある琴勝峰との対戦は注目度が高く、世代交代の象徴的な一番となるでしょう。

また、同世代対決も興味深い埋没層であり、若隆景と安青錦、新鋭の草野や藤ノ川といった顔ぶれとの対戦も楽しみです。それぞれの取り口や個性がぶつかり合うことで「実力伯仲の同世代対決」が見られます。

因縁のライバル戦としては、豊昇龍の休場明けが秋場所において注目されます。復帰戦あるいは象徴的な一番で闘いの再開を期待する声も多く、横綱同士の取り組みとなれば熱狂的に注目されます。

さらに阿炎や玉鷲といった中堅やベテランも横綱戦が組まれる可能性があり、一発を狙う相撲で観客を魅了する可能性があります。こうした取組はいわゆる「波乱を呼ぶ一番」としてファンの注目を集めるでしょう。

このように、秋場所では「横綱 vs 新鋭」「同世代対決」「因縁の対戦」と多彩な注目カードが揃います。それぞれのストーリー性や個性が光る一場所となることが期待されます。

秋場所ならではの楽しみ方

両国国技館での秋場所観戦は、ただのスポーツ観戦ではなく五感で楽しめる文化体験です。まず「国技館ちゃんこ」は地下大広間や2階西側などで提供されます。部屋ごとに味が日替わりで変わることもあり手軽な価格で名物を味わえます。観戦の合間にちゃんこを味わうだけでなく館内には焼き鳥や寿司、力士弁当など多彩なグルメが揃っており選ぶ楽しさもあります。親方売店ではグッズやお土産も充実しており相撲手帳や缶バッジなど記念品の購入も見どころです。

また館内にはインスタ映えするスポットが点在しており優勝額や力士パネル、フォトブースなど写真を楽しめるエリアも豊富です。SNSと連携するフォトサービスは若者や初めての観戦者にも人気で写真投稿が盛り上がります。

一方でSNS実況文化も大きな魅力です。現場の熱気や記録に残したい瞬間はハッシュタグとともに投稿され拡散されることで臨場感が共有されます。実況ツイートで注目される取組や技の解説もこれに含まれます。これは大相撲観戦の楽しさを広げる新しい交流の形といえます。

さらに「入り待ち」「出待ち」といった文化もありますが、国技館周辺では近隣への配慮から控えるよう協会から案内されています。観戦マナーとして力士への声かけや近隣迷惑を避けるようにすることが求められます。

このように秋場所では伝統的な楽しみと現代的な共有手段が融合しており観客の満足度を高めます。グルメやフォト映えに包まれてSNSと連動した体験は他にない楽しみ方です。

秋場所の歴史と過去の名勝負

秋場所は九月に開催される本場所として東京・両国国技館で行われており年間六場所のうち重要な位置を占めます。昭和から令和にかけて全国の名勝負が生まれた場所でもあります。例えば1933年秋場所では関脇・沖ツ海が別当との熱戦を演じたことが知られています。([ウィキペディア][4])

平成に入ってからも秋場所での優勝はスター誕生の舞台となりました。平成を代表する力士や人気力士が秋場所で優勝し、その場面は語り草となっています。令和になっても新横綱や若手力士が秋場所で躍進し相撲界の次代を印象づけています。

さらに観客席の構造も歴史を物語ります。土俵に近い溜席(砂かぶり席)や桝席、椅子席といった観客席構成は国技館ならではの設計であり観戦体験を支える重要要素です。([ウィキペディア][4])

優勝力士の系譜において秋場所は年間優勝争いを左右する節目として位置づけられます。秋場所の結果が翌年の巡りに影響を与える例は少なくなく過去の名横綱や人気力士も秋場所で栄冠をつかんだ経歴を持つ場合が多いです。その意味で秋場所は伝統と若き才能が交差する場所であり新たな世代が登場する舞台でもあります。

チケット情報と観戦ガイド【2025年最新】

2025年秋場所のチケットは例年通り2か月前から販売されています。大相撲公式販売サイト「チケット大相撲」やチケットぴあなどから購入可能であり抽選方式が中心となっています。

席種は主に三タイプです。土俵に最も近い「溜席(砂かぶり席)」は迫力ある観戦ができる反面飲食や撮影は禁止されています。次に「マス席(桝席)」は2人~4人で利用でき飲食が可能で仲間や家族向けです。そして「椅子席」は比較的リーズナブルで初めて観戦する方にも適した指定席です。

料金については例として九月場所では1人マスS席が平日14,000円〜で土日祝は15,000円、椅子A席は8,000円〜、椅子BやC席はさらにリーズナブルな設定となっています。 また溜席は1席20,000円程度で販売されています。

初心者が観戦を楽しむポイントとしてはまず「観戦のマナー」を押さえることです。座席外での立ち見やSNSの使用、応援幕の掲出、取組の最中の移動は禁止されています。とくに溜席では飲食・撮影もできません。 また開場時間は場所日によって異なり初日〜12日目は9:00、13・14日目は10:30、千秋楽は10:00となります。QRチケットは事前分配が必要です。

これらを踏まえれば初めての大相撲観戦でも安心して楽しめます。席選びはスタイルや予算に応じて、そしてマナーを守ることで秋場所を満喫できるでしょう。

海外ファンから見た大相撲秋場所

大相撲秋場所は観光資源として高い魅力を有します。近年ではインバウンド需要が高まっており相撲観戦を中心とした外国人向けツアーが増えています。WILLER ACROSSでは英語のツアーコーディネーターによる解説と最大75言語対応の自動翻訳サービスを提供し言語の壁を低くしています。これにより外国人が単独でチケット入手やルール理解に悩むことなく相撲を体験できるようになりました。

さらに相撲を「江戸の文化」として体感できる演出型ショーも展開されています。THE SUMO LIVE RESTAURANT 日楽座(GINZA TOKYO)では実寸大の土俵ステージで演出と食事を組み合わせ相撲文化を五感で楽しめる場を英語で提供しています。

英語による実況やダイジェスト番組も注目されています。NHKは「GRAND SUMO Highlights」と題した英語ダイジェストを制作し全世界に発信しており日本語を理解しないファンにも大相撲の魅力が伝わります。

このように相撲は単なるスポーツ観戦にとどまらず観光体験として位置づけられています。言語面や文化面に配慮したツアーや英語対応のコンテンツが拡充されることで海外ファンが安心して参加できる環境が整備されています。

よくあるQ&A|秋場所2025観戦前に知りたいこと

何時に行けばいい?

両国国技館の開場時間は通常9時30分ですが、9月最終週(金・土)は10時30分に、千秋楽の日曜日は10時00分に開場します。。一方ガイド資料によると早朝8時ころから開場し低段位の取組が始まることもあると案内されていました。

当日券はある?

ここ数年当日券の販売はありませんでした。例年チケットは抽選中心で早く売り切れる傾向にあるため事前購入が推奨されます。

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まとめ|2025年秋場所は世代交代と伝統の交差点

2025年秋場所は相撲界の世代交代と伝統の融合が色濃い場所になります。春場所から夏場所で活躍した力士が注目され、若手とベテランが競い合う場面も多く観られます。横綱・大の里や豊昇龍といった上位陣に加え三役候補の若手が旋風を巻き起こす可能性もあります。そのため優勝争いには実力者と新星が入り混じり予断を許さない展開となっています。

対照的にベテラン勢が長年の経験に裏打ちされた相撲を見せることで伝統の重みを観客に伝えます。観る者にとっては技術と精神性の対比を堪能できる点が魅力です。

さらに海外からの観客にとっても英語解説や多言語サービスが整備された環境で相撲を体験できる環境が整っています。そのため初見でも安心して楽しめるだけでなく、日本文化の深い理解につながります。

総じて2025年秋場所は進化する相撲文化と伝統の融合が見事に同居する一場所です。観戦するすべての層にとって忘れがたい体験となることが期待されます。

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あとがき|大相撲秋場所2025をめぐる多角的な考察と感想

大相撲の秋場所は一年六場所の中で特に意味深い位置づけを持ちます。春から夏にかけての戦いを総括しつつ次の冬場所へとつなぐ節目の存在だからです。2025年秋場所は新横綱の誕生、若手力士の台頭、そしてベテランの存在感が交錯するまさに世代交代と伝統が交わる舞台となります。ここでは観戦者としての視点、歴史を踏まえた視点、そして文化資源としての視点など多角的に捉えた感想を整理してみます。

まず力士たちの動向に目を向けると、新横綱・大の里の存在感は群を抜きます。史上最速十三場所で横綱昇進を果たしたという記録は相撲史における大きなうんちくの一つです。昭和以降、速い出世を遂げた力士は幾人かいますが、ここまでのスピードで番付を駆け上がった例は稀です。日本出身の横綱として長らく待たれた存在でもあり、観客の期待はいやが上にも高まります。横綱とは単なる勝敗の結果だけではなく横綱相撲を取り続ける責任を背負う立場です。立ち合いから堂々と受け止め相手をねじ伏せる姿にこそ横綱の品格が宿ります。大の里が秋場所でそれをどう示すかは一大テーマです。

一方でモンゴル出身の横綱・豊昇龍の復帰も注目されます。大相撲の歴史において外国出身力士が土俵を支える時代はすでに長く続いています。平成以降の名横綱として朝青龍や白鵬の名を挙げないわけにはいきません。豊昇龍はその系譜を継ぐ存在でありながら日本のファンからも広く支持されています。押し相撲と寄り相撲を巧みに織り交ぜるその取り口は見応え十分で、土俵を支配する力は健在です。休場明けの秋場所でその真価が問われることは必至です。

大関陣では琴櫻が安定感を発揮しつつも課題を抱えています。大関は横綱を支える役割を担い安定した成績を求められる地位です。昭和の時代に「大関とは横綱の前座にあらず」と言われたように、大関が充実してこそ相撲界全体の盛り上がりが生まれます。琴櫻は祖父ゆずりの四つ相撲を武器に健闘しておりその姿は伝統の継承という意味でも大きな価値を持ちます。大関としての真価を見せる秋場所となるか注視すべきです。

さらに関脇や小結といった三役陣では安青錦のような新鋭が光ります。ウクライナ出身で史上最速十二場所で三役に昇進したという事実は国際化の進む相撲界の象徴です。相撲は日本の国技でありながら世界的な注目を集めており外国人力士が実力で結果を残すことは今や当たり前の時代となりました。文化の多様性を受け入れつつ日本の伝統を守るというバランスを秋場所の土俵から読み取ることができます。

若手力士では琴勝峰の活躍が語られます。名古屋場所で平幕優勝を果たしたその勢いは秋場所にも直結します。平幕優勝は大相撲のうんちくの一つであり、番付下位から上位を倒して勝ち抜く姿は番狂わせの魅力を生みます。過去には貴闘力や栃東といった力士が平幕優勝でファンを熱狂させました。琴勝峰が続けて結果を残せるかどうかは秋場所の大きな焦点です。

ベテラン勢の存在感も忘れてはなりません。玉鷲は三十九歳を超えても幕内で取り続ける驚異的なキャリアを誇ります。大相撲史において三十代後半以降で幕内に残る力士は稀でありまさに鉄人と呼ぶにふさわしいです。その粘り強い突き押し相撲は観客を沸かせ後進への刺激となります。こうしたベテランの意地と若手の台頭がせめぎ合うことこそ秋場所の醍醐味です。

技の見どころという観点では「押し出し」「寄り切り」といった基本技が依然として最多ですが、横綱や新鋭の力士が繰り出す多彩な決まり手に注目が集まります。変化や奇襲技は賛否を呼びますが相撲の奥深さを示す一端でもあります。江戸時代の浮世絵にも力士の珍しい決まり手が描かれていたように、決まり手の多様さは相撲文化を語る上で欠かせません。

観戦文化にも独自の魅力があります。両国国技館では名物の焼き鳥やちゃんこを味わい、土産物を購入しつつ館内を巡ることで相撲観戦が総合的な体験となります。近年はSNSによる実況文化も盛んでありハッシュタグを通じて世界中のファンが秋場所を共有します。力士の入り待ちや出待ちについてはマナーに配慮する必要がありますが、観客が力士の息遣いを間近で感じられる機会として人気です。

歴史的な観点では秋場所は幾多の名勝負を生み出してきました。昭和の大横綱大鵬の連勝が止まったのも秋場所であり、平成には貴乃花や若乃花の兄弟対決が話題を呼びました。秋場所で初優勝を飾った力士がその後横綱まで駆け上がる例も多く、スター誕生の舞台として重要です。歴史とうんちくを知ることで秋場所の観戦は一層深みを増します。

そして現代的な観点ではインバウンド需要の高まりが秋場所を新たな観光資源にしています。英語実況や海外配信が整備され外国人観光客向けの相撲ツアーも増えています。大相撲は日本の伝統文化であると同時に世界の観光コンテンツとして定着しつつあります。この国際化の流れは大相撲が時代に応じて進化してきた証といえるでしょう。

最後にまとめとして、2025年秋場所は若手とベテランが交差し世代交代の象徴となる場であると同時に伝統の重みを体感できる場でもあります。相撲の歴史を振り返りながら最新の取り組みに熱狂し観客同士が交流することで、秋場所は単なるスポーツ観戦を超えた文化体験となります。そこには「横綱相撲」の美学や「平幕優勝」の驚き、そして「鉄人ベテラン」の意地といった多層的な物語が共存しています。観戦者にとってその一つひとつが深い学びや感動をもたらします。まさに秋場所は相撲界の縮図であり日本文化の象徴であるといえるでしょう。

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